相続税とは?誰が払うもの?
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『相続税』とはなにか
相続税とは、「相続税法(昭和25年3月31日法律第73号)」に基づき課せられる税金のことを言います。
被相続人(亡くなった人)の遺産(相続財産)を相続で受け継いだ場合や、遺言によって遺産を受け継いだ場合に、その遺産総額が後述する相続税の基礎控除額を超えるとかかる税金です。
また、その税額は、金額に応じた相続税率が適用されます。税率だけを見れば、最低10%から最高55%までの段階があり、軽視できません。
相続税には、「富の再配分」という基本思想があり、相続を繰り返すことにより貧富の差を緩和させるという経済政策が含まれています。現在の表現を使えば、「格差の是正」という言葉がわかりやすいかもしれません。
今回は、そんな「相続税」について見ていきましょう。
1.誰が払うのか
相続税の納税義務者
相続税を納める必要があるのは、相続または遺贈により財産を取得した人です。
法定相続人でない人が遺言によって遺産を受け取った場合でも、相続税を納税する義務はあります。
遺産総額が基礎控除額を超える人
相続税には「基礎控除額」といって、遺産総額から一定の金額を差し引くことができる仕組みがあります。
【基礎控除額の計算式】
3,000万円+600万円×法定相続人の数
【人数別の一覧(人数/万円)】
人数 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
控除額 | 3,600 | 4,200 | 4,800 | 5,400 |
相続または遺贈により財産を取得し、かつその遺産総額がこの基礎控除額を超える場合には、相続税の申告と納税をしなければなりません。
例えば、遺産総額が6,000万円で、法定相続人が3人の場合には、
[ 遺産総額6,000万円-基礎控除額4,800万円=1,200万円 ]
(基礎控除額=3,000万円+600万円×3人)
となり、1,200万円に対して相続税が計算されます。
相続税の計算は複雑ですが、自身に相続税の納税義務があるかどうかの簡単な判断基準としては、遺産総額が基礎控除額の範囲内かどうかを見れば大丈夫です。
基礎控除額を算出するポイントは「法定相続人」の数です。
もしも「法定相続人の数」がよくわからないときは、親族の一覧や、家系図を作ってみることをお勧めします。
2.どうやって払うのか
まず、相続税を納税するためには相続税の申告書を作成しなければなりません。相続税の申告および納期限は、相続が発生したことを知った日(被相続人の死亡した日)の翌日から10か月以内と決められています。
相続税の申告書を提出した上で、納税は税務署だけでなく納付書により金融機関や郵便局の窓口でもできます。
申告期限までに申告しても、税金を期限までに納めなかったときは利息にあたる延滞税がかかる場合がありますのでご注意ください。
また、申告期限までに申告しなかったら無申告加算税が課せられます。最高税率で20%と高いので十分注意する必要があります。
税金は金銭で一度に納めるのが原則ですが、相続税については、特別な納税方法として延納と物納制度があります。
延納は何年かに分けて納めるもので、物納は相続などで取得した財産そのもので納めるものです。
なお、この延納、物納を希望する方は、申告書の提出期限までに税務署に申請書などを提出して許可を受ける必要があります。
3.相続税の延納
ア 制度の概要
国税は、金銭で一度に納付することが原則です。しかし、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、年賦で納付することができます。
これを延納といいますが、この延納期間中は利子税の納付が必要となります。
イ 延納の要件
次に掲げる全ての要件を満たす場合に、延納申請をすることができます。
(1) 相続税額が10万円を超えること。
(2) 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
(3) 延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。
ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
(4) 延納申請に係る相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。
4.相続税の物納
ア 制度の概要
延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産による物納が認められています。
(注) 財産の生前贈与を受けて相続時精算課税又は非上場株式の納税猶予を適用している場合には、それらの適用対象となっている財産は、贈与者の死亡によりその贈与者から受贈者が相続により取得したとみなされることとなっていますが、それらの財産は物納の対象とすることはできません。
イ 物納の要件
次に掲げるすべての要件を満たしている場合に、物納の許可を受けることができます。
(1) 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。
(2) 物納申請財産は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、次に掲げる財産及び順位で、その所在が日本国内にあること。
・第1順位 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等※1
・第2順位 非上場株式等※2
・第3順位 動産
※1 特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券を含み、短期社債等を除きます。
※2 特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券を含み、短期社債等を除きます。
(3) 後順位の財産は、税務署長が特別の事情があると認める場合及び先順位の財産に適当な価額のものがない場合に限って物納に充てることができます。
(4) 物納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出することが要件になります。
5.最後に
このように相続税には申告および納税に関して様々な規定が存在します。
いずれにせよ相続が発生したら、なるべく早い時期に遺産分割、相続税申告書提出の有無、並びに納税方法の検討が必要かと思います。