福岡で遺言書を作成するなら|自筆・法務局保管・公正証書の選び方と、弁護士に相談して作る流れを解説

自宅を子どもの一人に継がせたい、子がいないので配偶者にすべて残したいなどの理由で、遺言書の作成を考え始めた方は少なくありません。遺言書の作り方には、自分で書く方法、自分で書いて法務局に預ける方法、公証役場で公正証書にする方法の3つがあります。ただし、どの方法で作っても、内容の決め方によっては相続後に手続きが進まなかったり、家族がもめたりすることがあります。この記事では、3つの作り方の違いと福岡での手続き先、専門家に相談して作ると何が変わるか、相談から完成までの流れ、家族が相談する場合の注意点を解説します。

第1章 遺言書の作り方は3つ|違いと福岡での手続き先

遺言書の主な作り方は、次の3つです。費用や手間だけでなく、相続後に確実に使えるかどうかに違いがあります。

自筆証書遺言 自筆証書遺言書保管制度 公正証書遺言
作る人 本人が手書き 本人が手書きし、法務局に預ける 公証人が作成
福岡での手続き先 なし 福岡法務局(福岡市内は本局)など 福岡公証役場・博多公証役場など
形式の不備で無効になるおそれ あり 外形的な確認があるため小さい 小さい
相続後の家庭裁判所の検認 必要 不要 不要
費用 ほぼかからない 保管の手数料3,900円 財産の額に応じた公証人の手数料

1-1 自分で書く「自筆証書遺言」

自筆証書遺言は、本人が全文・日付・氏名を手書きし、押印して作ります(民法968条1項)。
財産の一覧(財産目録)は、パソコンで作ったものや通帳のコピーを添付することもできますが、その各ページに署名と押印が必要です。

費用がかからず、思い立ったときに作れる一方で、日付の書き漏れなど形式の不備があると無効になります。また、形式が整っていても、「自宅を長男に」とだけ書いて土地と建物のどちらを指すのか分からない、書いていない財産がある、といった内容の問題で、相続後に結局、相続人全員の話し合いが必要になることもあります。
相続発生後には、家庭裁判所での検認の手続きも必要です。自宅で保管している間に見つからなくなったり、発見した家族に隠されたり書き換えられたりするおそれがある点も、注意しておきたいところです。

1-2 自分で書いて法務局に預ける「自筆証書遺言書保管制度」

自分で書いた遺言書を、法務局(遺言書保管所)に預ける制度です。紛失や改ざんを防げるほか、法務局が民法の定める形式に合っているかを外形的に確認したうえで保管します。相続後の家庭裁判所の検認も不要です。手数料は、遺言書1通につき3,900円です。
申請できるのは、本人の住所地・本籍地・本人が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所です。なお、福岡県内に本人の住所地・本籍地・所有する不動産の所在地のいずれかがある場合は、福岡法務局本局や各支局に設置された遺言書保管所のいずれでも申請できます。
申請は予約制で、本人が出向く必要があり、代理人や郵送では申請できません。

ただし、法務局では遺言の内容についての相談には応じてもらえません。形式が整っていても、内容が原因で使いにくい遺言書になるおそれは残ります。

1-3 公証役場で作る「公正証書遺言」

公正証書遺言は、本人が公証人に遺言の内容を伝え、公証人が作成する遺言書です。証人2人の立会いが必要で、原本は公証役場に保管されます。福岡市内には、福岡公証役場(中央区舞鶴)と博多公証役場(博多区博多駅前)があります。

公証人が作成するため、形式の不備で無効になるおそれは小さく、相続後の検認も不要です。費用は、遺言で残す財産の額などに応じた公証人の手数料がかかります。
本人が病気などで公証役場に行けない場合は、公証人に自宅や病院、施設まで出張してもらうこともできます(出張の場合は手数料の加算や日当・交通費がかかります)。確実さを重視するなら、公正証書遺言が中心になります。

第2章 専門家に相談して遺言書を作ると、何が変わるか

2-1 「書いてあるのに使えない」遺言書を防げる

遺言書は、相続後に銀行や法務局の手続きでそのまま使えなければ意味がありません。ここでいう「使えない」遺言書とは、方式に不備があって無効になる遺言書のことではありません。
遺言書としては有効でも、財産の書き方があいまいだったり、遺言書に書かれていない財産があったりすると、その部分は相続人全員の話し合いで決めることになり、遺言書を作った意味が薄れてしまいます。
また、財産を受け取る人が自分より先に亡くなった場合に誰に引き継がせるか、といった将来の変化への備えも、内容を設計する段階で検討できます。
さらに、遺言書には、財産の分け方とあわせて、なぜその分け方にしたのか、家族への思いを書き添えること(付言事項)もできます。付言事項に法的な効力はありませんが、分け方に偏りがある場合に、理由が分かることで家族の納得を得やすくなることがあります。

2-2 遺留分や相続税に配慮した内容にできる

特定の子にすべてを相続させる内容にすると、ほかの子から最低限の取り分(遺留分)を請求されることがあります。また、誰がどの財産を取得するかによって、相続税の額や使える特例も変わります。配偶者に多くを残すと、配偶者が亡くなったときの次の相続で子の税負担が増えることもあります。
希望をどこまで実現できるか、どこに配慮が必要かを、作る前に確認しておくことで、相続後のトラブルを防ぎやすくなります。何を書くかの考え方は、次の記事で解説しています。

遺言書作成で後悔しないために|誰に何を残すかを決める前に確認すべきポイント

2-3 遺言執行者まで決めておける

遺言執行者とは、遺言の内容どおりに、預金の解約や不動産の名義変更などの手続きを進める人です。遺言書で遺言執行者を指定しておけば、相続後に相続人全員で書類をそろえる負担が軽くなり、手続きを円滑に進めやすくなります。
家族を遺言執行者にすることもできますが、相続人の間で利害が対立しそうな場合や、手続きの負担が大きい場合は、弁護士などの専門家を指定しておく方法もあります。専門家が遺言執行者になれば、相続人の一人が手続きを抱え込んだり、ほかの相続人から手続きの進め方に不満を持たれたりすることを防ぎやすくなります。
専門家に相談して遺言書を作れば、誰を遺言執行者にするかも、内容とあわせて検討できます。

第3章 相談から遺言書ができるまでの流れ

専門家に相談して遺言書を作る場合の、おおまかな流れは次のとおりです。

3-1 相談の前に整理しておくこと

最初の相談の段階で、内容が完全に決まっている必要はありません。次の点をおおまかに整理しておくと、相談が進めやすくなります。

・家族の構成(配偶者、子、すでに亡くなった子がいればその子どもなど)
・財産のおおよその内容(自宅などの不動産、預貯金、株式、生命保険など。固定資産税の通知書や通帳があれば持参)
・誰に何を残したいか、家族について心配なこと
すでに遺言書を作ったことがあり、内容を見直したい場合も、同じように相談できます。

遺言書を作った後で家族関係・財産状況が変わった方へ|古い遺言書の見直し・作り直しを相談する前に確認したいこと

3-2 公正証書遺言を作る場合の流れ

弁護士に依頼して公正証書遺言を作る場合は、一般的に次のように進みます。
まず、相談の内容をもとに、弁護士が戸籍や不動産の登記事項証明書などで相続人と財産を確認し、遺言書の文案を作ります。本人が文案を確認して内容が固まったら、弁護士が公証人と打ち合わせをし、作成の日時を決めます。作成の当日は、本人と証人2人が公証役場に出向き、公証人が内容を読み上げるなどして本人の意思と内容を確認し、本人・証人2人・公証人による所定の手続きを経て完成します。
証人には、推定相続人(将来相続人になる予定の人)やその配偶者などはなれないため、弁護士事務所で証人を手配することもできます。

3-3 自分で書いて法務局に預ける場合の流れ

費用を抑えたい場合は、公正証書ではなく、自分で書いて法務局に預ける方法を選ぶこともできます。この場合も、内容は専門家と相談して決め、専門家が作った文案をもとに本人が手書きすれば、内容の不安を減らせます。
流れは、専門家と内容を相談して文案を固める、本人が文案をもとに手書きする、法務局に予約を取り、本人が出向いて保管を申請する、という順になります。

第4章 家族が遺言書の相談をする場合に気をつけたいこと

親に遺言書を作ってほしいと考えて、子どもが先に相談に来るケースもあります。家族が相談すること自体は問題ありませんが、次の2点を押さえておく必要があります。
一つ目は、遺言書は本人の意思で作るものだという点です。家族が内容を決めて本人に書かせたような形になると、相続後にほかの相続人から「本人の意思ではない」と遺言の有効性を争われるおそれがあります。
最終的な内容は、本人が専門家と直接話して決めてもらいましょう。公正証書遺言では、公証人が本人と直接話して意思を確認します。

二つ目は、判断能力が衰える前に作る必要があるという点です。遺言書を作るには、内容を理解して判断する能力(遺言能力)が必要で、認知症が進むと遺言書を作れなくなることがあります。本人が自分の考えを話せるうちに、早めに相談を始めることをおすすめします。

第5章 福岡で遺言書の作成に迷ったら、相続LOUNGEへ

遺言書は、自分で書く方法、自分で書いて法務局に預ける方法、公証役場で公正証書にする方法の3つから選べます。確実さを重視するなら公正証書遺言が中心になりますが、どの方法でも、財産の書き方、遺留分や相続税への配慮、遺言執行者の指定といった内容の部分で、相続後に家族が困るかどうかが変わります。本人の判断能力が十分なうちに、内容から相談しておくことをおすすめします。

相続LOUNGEは、博多マルイ5階にある相続の相談窓口です。グループ内の弁護士法人が、遺言書の内容の設計から公正証書遺言の作成、法務局での保管手続きのサポートまで対応しており、遺言執行者としてご指定いただくこともできます。税理士と連携して、相続税や次の相続まで見据えた内容を検討することも可能です。
遺言執行の費用を生前に前払いできる「相続LOUNGEクラブ」というサービスもあります。
入院中や施設に入所中の方には、弁護士による出張での相談にも対応しており、公証人の出張と日程を合わせて公正証書遺言を作成することもできます(出張日当・相談料・交通費が別途かかります)。
相続の相談は初回無料で、遠方にお住まいの方はオンラインでの相談も可能です。料金は、サービス一覧・料金のページでご確認いただけます。

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